夫を亡くしたあと、私は不動産会社で働き始めた。
資格も取り、少しずつ自分の生活を立て直していた。
そんな時、長男夫婦から突然電話が来た。
「世田谷に100坪の一軒家買ったんだろ?明日そっちに引っ越す」
さらに長男嫁は笑いながら言った。
「断るなら一生介護しませんよ」
私は即答した。
「お断りします」
翌日、嫁から鬼のように着信が入った。
どうやら荷物をまとめ、前のアパートまで引き払って“私の家”の前に来たらしい。
でも残念。
私はその家を買っていない。
宅建士として、顧客の売買に立ち会っただけ。
勝手に勘違いして、勝手に引っ越して、勝手に詰んだだけ。
介護を盾に人の家を奪おうとした結果、自分たちの住む場所を失った。
後悔するのは、最初からそっちだった。