男友達から、夜中に電話が来た。
声が明らかに沈んでいる。
「彼女と別れた…」
私は驚いて聞いた。
「なんで?」
すると友達は、少し間を置いて言った。
「彼女、妊娠したんだ」
その瞬間、私は思わず怒鳴った。
「は!?最低だな!子どもできたからって逃げるのかよ!」
でも電話の向こうで、友達は泣きそうな声で静かに言った。
「だって…俺たち…まだしてないんだ」
一瞬で空気が変わった。
怒っていた私の言葉も、全部喉に引っ込んだ。
「……そうか」
それ以上、何も言えなかった。
とりあえず週末、飲みに行こう。
泣くな。
涙を拭け。
お前は逃げた男じゃない。
父親ですらなかった。