72歳の千ひは、年金12万円と貯金700万円がありながら、毎月の生活は苦しかった。新しいスマホの分割払い、孫へのお小遣い、特売を見るたびに増える買い物袋。「貯金があるから大丈夫」と思っていたが、残高は少しずつ減っていた。
一方、友人のあき子は年金8万円。それでも週3日の清掃パートを続け、3年で130万円を貯めていた。千ひは驚き、理由を尋ねた。
あき子は、昔テレビで一度だけ放送された番組で学んだ「お金が貯まる人と底をつく人の違い」を話し始めた。
1つ目は、他人軸で買わないこと。
見栄や周囲の目を気にして買う人ほど、お金は減っていく。本当に必要か、自分で判断する人は貯まりやすい。
2つ目は、いつか使うを捨てること。
使わない物を抱え込む人は、無駄な出費も増える。1年以上使わない物は手放す覚悟が必要だ。
3つ目は、特売に飛びつかないこと。
半額でも不要な物なら浪費。本当に必要か、一度立ち止まる人がお金を守れる。
千ひは最初、三つ全部を一気に始めて失敗した。だが数か月後、あき子は優しく言った。
「全部やらなくていいの。1つだけ続ければいい」
千ひは「他人軸で買わない」だけを実践した。服を買う前に「本当に必要?」と自問し、孫には1万円の代わりに手作りクッキーを渡した。孫は笑顔で「おばあちゃんの手作りが一番うれしい」と喜んだ。
1年後、通帳を見ると貯金は24万円増えていた。さらに半年後には36万円増。千ひはようやく気づいた。
お金が貯まる人と底をつく人の差は、収入ではない。毎日の小さな選択だったのだ。
もし今、お金に不安があるなら、全部変えなくていい。まずは一つ、自分にできる習慣から始めればいい。