授業参観の最中、妊婦のママが突然お腹を押さえて倒れ込んだ。
「破水してる!」
教室は一瞬でパニックになった。
救急車を待つ間にも陣痛は強くなり、保健の先生と女性教師が周囲を囲んで、必死に対応した。
子どもたちは別室へ移され、残った大人たちは息をのむことしかできない。
そして数分後、赤ちゃんの泣き声が教室に響いた。
安堵の空気が流れた、その瞬間。
赤ちゃんを受け取った教師が固まった。
「何これ…有り得ない…」
全員の顔から血の気が引いた。
赤ちゃんの小さな手には、なぜか切れたミサンガのような紐が絡んでいた。
それを見た妊婦のママは、震える声で言った。
「それ…亡くなった夫が、出産前にお守りとして結んでくれたもの…」
教室は静まり返った。
誰も笑えなかった。
ただ一人、赤ちゃんだけが力いっぱい泣いていた。