25年前、横断歩道で息子を亡くした。
左折してきたトラックに巻き込まれ、私の世界はその日で止まった。
布団から起きられない。
人に会えない。
何を見ても息子を思い出して泣いた。
電車の隣に座った男の子の頬。
コンビニのヨーグルト。
全部が胸を刺した。
少しでも泣かない時間を作りたくて、FP講座に通った。
そこで先生が言った。
「お金に困る人ほど、寄り添う人が必要なんです」
その言葉だけが、暗闇の中で小さく光った。
その後、私は食堂を始めた。
倒れてもいいと思うほど働いた。
ある日、客に言われた。
「ママは毎日本日晴天みたいな顔だね」
その瞬間、心の中で思った。
勝った。
息子を忘れたわけじゃない。
悲しみが消えたわけでもない。
ただ、周りに気を遣わせない顔で立てるようになった。
それだけで、私は少しだけ自分に勝てた。