彼女として1年。妻として過ごしたのは、たった1か月と23日だった。
その日も、旦那はいつも通り出勤の準備をしていた。玄関で振り返り、笑顔で「行ってきます」と言う。
彼女も笑って見送った。それが最後になるとは思ってもいなかった。
昼を過ぎた頃、突然電話が鳴った。
岡山の出張先で、旦那がトラックの車内で倒れているという連絡だった。発見時には、すでに心肺停止状態だった。
彼女は耳を疑った。「なんで?どうして?」
何度考えても現実だと思えない。
彼女は震える手で支度をし、そのまま岡山へ向かった。移動中も頭の中は真っ白だった。
到着した時、旦那は静かに横たわっていた。呼びかけても、もう返事は返ってこない。
周囲の人たちは彼女を支えようとしてくれた。だが彼女は、何も考えられなかった。
葬儀場の控室。彼女は家族3人で過ごす最後の時間を迎えた。
旦那と過ごした日々が何度も頭をよぎる。涙は止まらず、言葉も出なかった。
これから一緒に歩くはずだった未来は、一瞬で消えてしまった。
「こんな人生もう嫌だ」
彼女は心の中で何度も呟いた。愛する人を失う苦しさに、押し潰されそうだった。
それでも彼女は少しずつ考え始める。
旦那との思い出を忘れずに生きること。旦那がくれた愛を抱えたまま前を向くこと。
辛くても、生きていくしかない。
彼女は涙を拭きながら、小さく前を向き始めた。