結婚して三年、私は毎日欠かさず夫のご飯を作ってきた。
手間をかけ、栄養を考え、休みの日も手抜きをせず、家族のために食卓を整えてきた。
だけど夫は、毎回食べ終わるたびに決まってこう言う。
「お粗末さまでした」
普通の人はただの冗談だと思うかもしれない。
でも、日本の礼儀を知っている人ならこの違和感が分かる。
「お粗末さまでした」は、ご飯を作った側が言う謙遜の言葉だ。
食べた側が言うべき言葉はただ一つ、「ごちそうさま」しかない。
夫はその礼儀を知っていながら、わざと逆の言葉を繰り返してくる。
毎日毎日、私の作った料理を「粗末なもの」だと遠回しに貶し、私の努力を全部無にする。
私は何度も気持ちを伝えた。
失礼だ、不快だ、やめてほしい、真剣に話し合おうともした。
なのに夫はいつも軽く笑って流し、「ただの冗談、気にしすぎ」と私の心を無視し続けた。
自分は優しい夫のフリをしながら、私の真心を踏みにじっていたのだ。
積もり積もった不満は、親戚の食事会でついに溢れ出た。
その日も私は手料理を振る舞い、周りの人は美味しいと喜んでくれた。
それなのに夫は、いつものように大きな声で「お粗末さまでした」と言い放った。
周囲がぼんやり笑う空気の中、私はもう我慢しなかった。
私は静かに、だれにでも聞こえる声で真実を話した。
「これは冗談ではありません。
お粗末さまでしたは、料理を作った人が自分を謙遜する言葉です。
食べた人が言うのは、作った人の努力を否定する大変失礼な行為です。
夫は三年間、わざと私を見下すためにこの言葉を繰り返してきました」
一瞬にして場の空気は凍り、親戚たちは夫の無礼と意地悪をはっきりと知った。
その日を境に、私は夫のためにご飯を作るのを完全にやめた。
家事も世話も一切しない。
自分の料理を粗末だと思う人間に、尽くす理由などどこにもない。
今までの優しさは全部私の善意だっただけで、義務ではなかった。
毎日当たり前のように食事が出てくる生活に慣れきっていた夫は、たちまち生活が荒れていった。
外食ばかりで体を崩し、部屋は散らかり、日々イライラするようになった。
ついに夫は私に謝罪し、もう二度とそんなことは言わないと泣きついてきた。
私は冷めた気持ちで答えた。
「私の努力がいつでもお粗末なら、もうあなたのために何も作る必要はありません。
感謝できない人に、優しさは届かないんです」
相手の真心を弄び、礼儀を履き違えて人を傷つけた人の結末は、やがて全部自業自得になる。