有休明けの妻の背中に「給料泥棒」と落書きされていた——俺が会社へ電話した瞬間、空気が変わった
2026/05/12

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有休明けの日だった。

仕事を終えて、
いつも通り帰宅した。

妻からは昼間、
短いLINEが来ていた。

「今日は早く帰れそう」

それだけ。

特に深く考えていなかった。

でも玄関を開けた瞬間、
妙な空気を感じた。

静かすぎる。

リビングへ向かうと、
妻がソファに座っていた。

背中を向けたまま、
動かない。

「ただいま」

そう声をかけても、
返事がない。

違和感を覚えて近づいた瞬間、

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俺は固まった。

妻の背中。

白いシャツに、
赤いマーカーで文字が書かれていた。

『給料泥棒でごめんね♡』

意味が分からなかった。

冗談?

悪ふざけ?

でも次の瞬間、
妻の肩が小さく震えていることに気づいた。

泣いていた。

「……何これ」

自分でも驚くくらい、
低い声が出た。

妻はゆっくり振り返った。

目が真っ赤だった。

「職場で……いたずらされて……」

その瞬間、
頭の奥で何かが切れた。

妻は元々、
有休を取ることに罪悪感を持つタイプだった。

迷惑かけてないか。

周りに嫌われてないか。

いつも気にしていた。

そんな人間の背中に、

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これを書いた?

しかも、
“♡”付きで?

悪意しかない。

俺は深呼吸した。

怒鳴るな。

冷静になれ。

でも、
怒りは消えなかった。

「責任者、誰?」

妻は慌てて言った。

「いいよ……大ごとにしたくない……」

でも俺は、
スマホを手に取った。

会社へ電話した。

事情を説明すると、
最初は軽い反応だった。

「確認しますので……」

その瞬間、
俺ははっきり言った。

「今回の件、
看過できません」

空気が変わった。

俺は続けた。

「社員への嫌がらせを放置する会社と、

今後も取引を続けるべきか、
こちらも再検討します」

沈黙。

電話の向こうの声が、
明らかに変わった。

慌てて責任者が出てきた。

「詳しくお話を……」

俺は感情ではなく、
事実だけを並べた。

「誰が書いたのか」

「なぜ止められなかったのか」

「管理体制はどうなっているのか」

「再発防止策は?」

責任者は言葉を詰まらせていた。

妻は横で、
まだ涙をこぼしていた。

俺はそっと手を握った。

「大丈夫」

「もう一人で我慢しなくていい」

数日後。

会社は正式に調査を開始。

書いた社員は特定され、
厳重処分になった。

さらに、

社内体制も見直されたらしい。

その報告を聞いた時、
妻は静かに泣いていた。

悔しかったんだと思う。

怖かったんだと思う。

ずっと、
一人で耐えていたんだと思う。

あの日、
俺は初めて知った。

“たかがイタズラ”って、
やった側だけが言う言葉なんだって。

笑い半分の悪意は、
人を壊す。

心を削る。

自分の価値まで疑わせる。

だからこそ、
見過ごしちゃいけなかった。

その夜。

妻は少しだけ、

安心した顔をしていた。

俺は背中にそっと手を添えて言った。

「もう大丈夫」

「今度は、
ちゃんと俺が守るから」

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