離婚してから、娘とはほとんど会っていなかった。
元妻に引き取られた娘は、私に対してずっと冷たく、連絡も年に一度あるかないかだった。
そんな娘から、ある夜突然メッセージが届いた。
「お父さん、お願い。お母さんが学費を出してくれないの」
画面を見た瞬間、胸が締めつけられた。
涙の絵文字までついたその文面に、私は深く考える余裕もなく返信した。
「任せろ。困った時は父親を頼れ」
すぐに娘の口座を聞き、まとまった学費を振り込んだ。
久しぶりに父親らしいことができた気がして、正直うれしかった。
しかし翌日、娘から届いた言葉で、私は凍りついた。
「ありがとう。もう用無しです」
それだけだった。
冗談かと思って電話をかけたが、つながらない。
嫌な予感がして元妻に確認すると、さらに信じられない事実が分かった。
学費はすでに奨学金と元妻の貯金で支払われていた。
娘が欲しかったのは学費ではなく、彼氏との同棲資金だったのだ。
しかも、元妻には「お父さんが勝手にくれた」と説明していたらしい。
私は通帳の振込記録と娘とのやり取りを保存し、淡々と返金を求めた。
娘は最初こそ強気だったが、彼氏にも事情が知られ、元妻にも叱られ、最後には泣きながら謝ってきた。
私は言った。
「困っている娘を助けるつもりだった。人を利用する娘に金を渡したつもりはない」
親子だから何をしても許されるわけではない。
その日、私はやっと娘を甘やかす父親を卒業した。