隣家が売りに出されたと聞いた時、私はすぐに購入を決めた。
もともと我が家は庭も駐車スペースも狭く、隣地を買えれば、庭を広げてガレージも造れると考えていた。
手続きが終わり、リフォーム業者と打ち合わせを始めた頃、両隣の家の人たちがそろって訪ねてきた。
「竿地の部分、うちに二メートルずつ使わせてほしいんです」
私は一瞬、意味が分からなかった。
話を聞くと、彼らはその細長い土地を自分たちの駐車場として使いたいらしい。
しかも「今まで空いていた場所なんだから、少しくらいいいでしょう」と、当然のような口ぶりだった。
私は丁寧に断った。
「ここは私が購入した土地です。工事計画にも入っていますので、お貸しできません」
すると片方の隣人は不満そうに言った。
「近所付き合いってものがあるでしょう」
もう片方も続けた。
「独り占めするのは感じが悪いですよ」
その言葉で、私は迷いを捨てた。
翌日、土地家屋調査士に依頼して境界を明確にし、リフォーム会社には予定より高めのフェンス設置を追加で頼んだ。
工事当日、境界杭とフェンスを見た隣人たちは顔色を変えた。
「そこまでしなくてもいいじゃないですか」
私は静かに答えた。
「最初に“二メートルずつよこせ”と言われたので、こちらも分かりやすくしました」
結局、竿地は予定通り我が家のガレージへの通路になった。
近所付き合いを盾に他人の土地を使おうとした人たちは、その日から何も言ってこなくなった。