
家に帰った瞬間、玄関に並んだ見慣れない靴が目に入った。
妹の彼氏と、その両親のものだった。
「結婚の挨拶かな」
そう思いながら、自分の部屋に向かった。
でも次の瞬間——
「バカ女!」
という怒鳴り声が聞こえた。
思わず足が止まる。
ただ事じゃない。
私はそのままリビングへ向かった。
そこには、泣いている妹と、怒りをあらわにした彼氏。
テーブルの上には、一枚の写真が置かれていた。
「浮気してただろ」
そう言って、写真を突きつけている。
私は状況が分からず、その写真を見た。
……え?
写っていたのは、
知らない男性と楽しそうに話している女性。
一瞬、妹かと思った。
でも違う。
それは——私だった。
その場で息が詰まった。
彼氏は続けた。
「この日、別の男とデートしてたよな?」
妹はすぐに否定した。
「その日、バイトだったよ」
シフト表を持ってきて見せる。
でも彼氏は聞かない。
「どうせ休んだんだろ」
完全に決めつけていた。
その時、母が言った。
「浮気するなら別れなさい」
すると、彼の母親もかぶせるように言った。
「こんな子とは別れた方がいい」
一気に空気が悪くなる。
私はもう黙っていられなかった。
「……その写真、私です」
場が止まった。
全員がこちらを見る。
私は深呼吸して、続けた。
「妹じゃないです」
「私が高校の同級生と一緒にいた時の写真です」
その場にあったLINEの履歴や写真を見せて説明した。
服装も、時間も一致している。
言い逃れはできなかった。
彼氏の顔色が変わる。
そして、彼の父親が怒鳴った。
「自分の彼女と姉の区別もつかないのか!」
その一言で、完全に流れが変わった。
彼氏は黙り込んだ。
そして、小さく言った。
「……ごめん」
でも、遅かった。
「信じられないなら、付き合う資格ないよな」
そう言って、妹に別れを告げた。
その瞬間、妹が泣き崩れた。
「なんで……」
その声が、やけに残った。
帰り際、彼氏は私に言った。
「お前のせいでこうなった」
その言葉に、何も返せなかった。
私はただ、その場に立っていた。
今回のことではっきり分かった。
似ている顔も、過去も関係ない。
問題は——
信じる気があるかどうかだった。