繁忙な金曜の夜。
都内の居酒屋は満席で、店長の佐藤は30人の団体予約に向けて準備を進めていた。
大学サークルの打ち上げ予約だった。
立食用にレイアウトを変更し、大量の料理やドリンクも用意していた。
しかし夜7時になっても、学生たちは誰一人現れない。
不安を感じ始めた頃、店員が電話を持って駆け込んできた。
「店長、予約の大学生からです!」
佐藤が電話に出ると、相手は軽い口調で言った。
「今日30人で予約してたけど、キャンセルで」
佐藤は言葉を失った。
だがすぐに気持ちを立て直し、冷静に答える。
「キャンセル料100%になります」
すると相手は開き直ったように、
「え?そんなの聞いてないし。払わないよ」
と言い放った。
電話が切れた後、佐藤はスタッフへ状況を説明した。
大量の料理、確保した席、断った他の予約。
損害は大きかった。
佐藤は決断する。
「この現実を知ってもらおう」
スタッフたちは料理や店内の写真を撮影し、SNSへ投稿。
無断キャンセルによる被害を発信した。
投稿は一気に拡散された。
「これは酷い」
「店が可哀想すぎる」
共感の声が相次ぎ、店には応援メッセージも届いた。
一方で、無断キャンセルした学生側にも批判が集中。
最終的に幹事の学生が謝罪する事態となった。
この件をきっかけに、佐藤の店では予約時の前払い制度を導入。
無断キャンセル対策を強化することになった。
佐藤は改めて実感した。
客にとっては軽いキャンセルでも、店にとっては経営を揺るがす大損害になる。
あの金曜の夜の出来事は、飲食業界へ無断キャンセル問題を突きつける、大きな教訓となった。