元夫から「離婚したい」と言われた日のことは、今でも覚えている。
理由は曖昧。
態度は妙に軽い。
もう次が決まっている顔だった
だから私は、引き止めなかった。
感情で縛るより、
先に人生を整える方が早い
手続きを終え、静かに終わらせた。
――三日後。
知人から連絡が来た。
「元旦那、再婚したよ」
早すぎて、逆に納得した。
でも次の一文で、空気が変わった。
「写真送るね」
開いた瞬間――
私は吹き出した
そこに写っていたのは、
私の元夫
そして“新しい嫁”
しかもその女。
私の高校の同級生
しかも――
私が昔、紹介したことがある相手
ここまではまだ“偶然”。
でも、本当の爆笑ポイントは違った。
その写真の背景。
タワマンのリビング
元夫がよく自慢していた場所。
「俺の持ち家」
……ああ。
まだ知らないんだ
私は笑いながら知人に返した。
「ありがとう。完璧なオチ見た」
――その夜。
元夫から電話が来た。
「おい、鍵使えないんだけど」
焦った声。
背後には、新妻の声。
私は静かに言った。
「うん、変えたよ」
「は?なんで勝手に――」
「名義、私だから」
沈黙。
さらに続けた。
「あとね」
「あの部屋、もう売った」
空気が完全に止まった。
「……は?」
「決済終わってるよ」
その瞬間。
後ろから女の声。
「え?売ったってなに?」
私は少しだけ間を置いて言った。
「あなたが“最高の嫁”って呼ばれてた場所、もう存在しないよ」
女の声が一気に変わる。
「ちょっと待って、家あるって言ったよね?」
元夫が慌てる。
「いや、それは…これから…」
「これから?」
空気が崩れる音がした。
私は追撃しなかった。
ただ、事実を置くだけ。
「あなたが見てたのは、私の資産」
「あなたのじゃない」
沈黙。
そして――
女が冷たく言った。
「ねえ、家柄も嘘?」
元夫、詰む。
私はここで、最後の一言を置いた。
「あなたが“最高”って言ってたのはね」
「人じゃなくて、条件だよ」
「その条件、全部もう無いから」
通話を切った。
――静寂。
私はソファに座り、しばらく笑った。
本当に久しぶりに、心から笑った。
三日で再婚する人間は、
三日で崩れる。
ただ、それだけ。
私は何もしていない。
ただ“自分の人生を整理しただけ”
でもその結果。
彼の人生は、勝手に崩れた
窓の外の夜景を見ながら、思った。
もう、あの人の人生は関係ない。
私が手放したのは“人”じゃない。
“問題”だった
そしてようやく、
私は自分の人生に戻った。