戻った瞬間、
思わず足が止まった。
私の車の前に、
見知らぬ車が停まっていた。
しかもかなり近い。
完全に、
車を出せない位置。
タイヤには赤いロック。
窓には警告の貼り紙。
どう見ても、
何度も問題を起こしてる車だった。
私は時計を見た。
約束まで、
残り15分。
頭が真っ白になった。
とりあえず車内に貼ってあった連絡先へ電話。
でも出ない。
メッセージ送っても既読すらつかない。
周りの人も、
チラッと見るだけで助ける気はない。
正直、
かなり焦った。
でもこういう時、
感情的になると余計詰む。
私はまず、
写真を撮った。
車の位置。
タイヤロック。
貼り紙。
全部記録。
そのあと、
車体の隙間を冷静に確認した。
ギリギリ。
本当にギリギリだけど、
少しずつ切り返せば出られるかもしれない。
私は深呼吸した。
そして、
ロックに当てないよう、
ゆっくり車を動かした。
前へ数センチ。
バック。
また少し前。
汗が止まらない。
ミスったら終わる。
でも、
少しずつスペースができていく。
その時だった。
駐車場の管理スタッフが来た。
状況を見るなり、
眉をしかめる。
「これ、
完全に規則違反ですね」
その直後。
ようやく、
無断駐車の持ち主が戻ってきた。
さっきまで連絡無視してたくせに、
スタッフ見た瞬間、
顔色が変わった。
「す、すみません!」
急に低姿勢。
私は撮った写真と動画を見せた。
スタッフも頷く。
持ち主は、
もう何も言い返せなかった。
結局、
その場で謝罪して、
慌てて車を移動。
数分後、
ようやく私は車を出せた。
時計を見る。
約束まで残り10分。
私は急いで車を走らせながら、
ちょっとだけ思った。
結局こういう人って、
“迷惑をかけたから”じゃなく。
“自分が不利になった瞬間”
急に大人しくなるんだなって。