【逆転】毎朝ダメ出しばかりする夫にエプロンを渡した日、ようやく彼は気づいた。
2026/06/21

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朝、まだ頭がぼんやりしている時間だった。

「この唐揚げ、大きすぎる」

夫の一言で、私の箸は止まった。

健康のために油を控え、野菜を増やし、玄米も取り入れた。夜遅くまでレシピを調べて、少しでも体に良いものを食べてほしいと思っていた。

それなのに返ってくるのは感謝ではなく文句ばかり。

「サラダが草みたい」

「玄米は硬い」

「普通のでいいのに」

私は静かにエプロンを外した。

そして夫の前に置いた。

「じゃあ、明日から自分で作って。」

夫は笑った。

「朝飯くらい簡単だろ。」

翌朝、その言葉を後悔することになる。

キッチンからは包丁の音と焦った声。

「え?これどう切るの?」

「卵焼きって何分焼くんだ?」

十分後には焦げ臭い匂いが部屋中に広がった。

出来上がった朝食は悲惨だった。

真っ黒な卵焼き。

しなしなのレタス。

半生の鶏肉。

夫は無言だった。

いつも偉そうに文句を言っていた人間が、自分では何一つ満足に作れなかったのだ。

その日の夜、私は料理を作らなかった。

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コンビニ弁当を二つ並べただけ。

夫は不満そうな顔をした。

「今日の夕飯、それだけ?」

私は淡々と答えた。

「あなたの理想の料理は、あなたにしか作れないから。」

その言葉に、夫は何も言い返せなかった。

しばらく沈黙が続いた後、小さな声で言った。

「……俺、言い過ぎてた。」

初めて聞く謝罪だった。

それから夫は文句を言わなくなった。

むしろ時々、

「これ美味しいな。」

そう言うようになった。

料理の味は変わっていない。

変わったのは、作る苦労を知った夫の方だった。

私はその時思った。

人は失って初めて価値に気づく。

毎日当たり前に出てくる朝食も、誰かの時間と優しさでできているのだと。

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