何度電話しても出ない母、SNSは笑顔のまま——「会いたくない」と言われた日
2026/03/30

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両親が離婚して、半年が経った。

別れる日、母は私の手を握って言った。

「いつでも電話して。あなたの味方だから」

私は、その言葉を信じていた。

でも——

最初に送ったLINEは未読のまま。

電話も出ない。

一週間、二週間、

気づけば一ヶ月。

呼び出し音のあと、切れる音だけが残った。

その瞬間、分かった。

——拒否されてる。

胸の奥が、すっと冷えた。

なのに母のSNSには、

笑顔でカフェにいる写真が上がっている。

「元気だよ」みたいな顔で。

私は父に聞いた。

すると、淡々と言われた。

「もう連絡するな。会いたくないらしい」

頭が真っ白になった。

理由も、説明もなかった。

ただ、

“いらない”って言われた気がした。

どうしても納得できなくて、

母の旧住所に行った。

でももう、そこに母はいなかった。

知らない名前の表札。

インターホン越しに「もう引っ越しました」と言われた。

帰り道、街の音がやけにうるさく感じた。

家に戻ると、

父がようやく口を開いた。

「母さん、心療内科に通ってる」

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「お前に言うと、抱え込むと思ってた」

その一言で、

今度は違う意味で頭が止まった。

知らなかった。

何も知らされていなかった。

怒りと同時に、

怖さが込み上げてきた。

その夜、短い手紙を書いた。

「返事はいらない」

「ただ、生きてるって教えて」

それだけ書いて、送った。

三日後、

知らない番号から電話が来た。

出ると、母の声だった。

「……ごめん」

それだけで、

涙が止まらなかった。

母は言った。

「あなたの声を聞くと、戻りたくなるのに戻れなくて…」

「ちゃんと向き合えない自分が怖くて、逃げてた」

SNSの笑顔は、

全部“元気なふり”だった。

私はしばらく黙って、

やっと言えた。

「戻ってほしいんじゃない」

「ただ、私を“いなかったこと”にしないで」

少しの沈黙のあと、

母が小さく言った。

「…月に一回でも、電話していい?」

私はすぐには答えられなかった。

また消えるんじゃないかって、

怖かったから。

でも、

一つだけ条件を出した。

「出られない日は、スタンプ一個でいい」

「無視だけはしないで」

母は、静かに「うん」と言った。

次の日、

LINEに猫のスタンプが届いた。

たったそれだけなのに、

私は泣いた。

家族は簡単に壊れる。

でも——

関係は、

簡単には終わらないんだと思った。

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