結婚して以来、義両親は私を露骨に邪魔者扱いしてきた。中でも義母は執拗で、夫の達彦さんと私が二人で話そうとするたびに割って入り、嫌味を重ねてきた。そんな義母が突然提案したのが、家族でのグアム旅行だった。嫌な予感はしていたが、空港でそれは現実になる。搭乗前、義母はわざとらしく慌てた顔をして「あなたのパスポート落としちゃったの。留守番してて」と言い出したのだ。
私は怒るより先に、もう十分だと思った。「そうですか。では帰ります」とだけ告げ、その場を離れた。すると後で夫から連絡が入り、義母が“パスポート”だと思い込んでいたのは、実は私のパスポート風ノートだったと知る。義母は嫁を置き去りにしたつもりで得意になっていたらしい。
数日後、義母は「やっぱり三人旅が最高」と勝ち誇ったLINEを送ってきた。だが帰国後、彼女は一変する。夫は日本に戻らず、海外赴任先へ直行していたのだ。さらに義妹のカナさんも私たちに合流し、義父まで離婚を決意して家を出ていた。
置き去りにしたつもりだった嫁に、最後に置いていかれたのは義母自身だったのである。