有紗が国立大学に合格した夜、私は心から祝福した。食事や生活面で支え続けてきた時間が、ようやく報われた気がしたからだ。だが返ってきたのは、「中卒の底辺デブスがパパに釣り合うわけない」という残酷な言葉だった。受験が近づくにつれ、有紗は私を露骨に見下し、夫までその空気に流されて、ついには離婚を迫ってきた。
私は静かに家を出た。泣いて縋る価値もないと悟ったからだ。数日後、有紗から「大学の学費が払えない」と半狂乱の連絡が入る。そこで私は初めて真実を告げた。家の生活費も学費も、実はほとんど私が支えていたこと。夫はすでに職を失っていたこと。そして私は、中卒ではあっても大企業の役員として働き続けてきたことを。
さらに私は、有紗の実の母親ではないことも明かした。血がつながらなくても家族になれると信じ、愛情を注いできた。だが彼女はその想いを踏みにじり、私を追い出した。電話の向こうで言葉を失う有紗に、私はもう戻らないと告げた。
見下していた相手こそ、自分たちの生活を支えていた。その現実だけが、最後に残ったのである。