スーパーで夕飯の買い物をしていた時、私は特売コーナーで28円の豆腐を手に取った。
すると近くにいた男の子が、無邪気な声で母親に聞いた。
「ママ!この豆腐食べられるの?」
その母親は私の顔をちらっと見て、わざと聞こえる声で笑った。
「食べられないよ!28円の豆腐なんて(笑)」
周囲にいた人たちも気まずそうに視線をそらした。
私は何も言わず、豆腐をカゴに入れようとした。
その時、隣にいた娘が静かに口を開いた。
「ママ、この豆腐で作る味噌汁、私いちばん好き」
そしてその親子を見て、にっこり笑った。
「値段で食べ物をバカにする人より、食べ物を大事にする人の方が、ずっとかっこいいよ」
母親の笑顔が固まった。
男の子は母親を見上げて、小さな声で言った。
「ママ、今の恥ずかしいね」
その一言で、母親は何も言えず、そそくさとその場を離れていった。