その日は、
少し気分転換したかった。
仕事続きで疲れていて、
久しぶりに北新地へ行こうと思った。
街に入ると、
独特の空気がある。
高級感。
ネオン。
スーツ姿の人たち。
「ああ、北新地だな」
って感じの空気。
向かったのは、
ジャングル東京 北新地店。
前から何度か行ったこともあったし、
今日はゆっくり飲もうと思っていた。
席に案内され、
指名した女の子を待つ。
少しして来た。
でも、
まともに話した時間なんてほとんどなかった。
「ちょっと待っててね〜」
そう言ったまま、
別卓へ。
まあ、
少しなら分かる。
こういう店だし、
多少席を回るのも普通。
でも——
戻ってこない。
10分。
20分。
30分。
気づけば、
40分以上経っていた。
私は時計を見ながら、
段々おかしくなってきた。
え、
これ何してる時間?
待機?
放置?
しかも、
ドリンクも追加していない。
ただ座って、
時間だけが過ぎていく。
すると突然、
スタッフがやってきた。
「お会計になります」
私は一瞬、
意味が分からなかった。
いや、
何の会計?
レシートを渡される。
そこに書かれていた金額を見て、
完全に固まった。
61500円。
思わず二度見した。
いや待って。
私、
ほぼ放置されてたよね?
指名の子、
全然席戻ってきてないよね?
なのに、
しっかり90分扱い。
意味が分からない。
私はすぐ確認した。
「40分くらい待ってただけなんですけど?」
でも返ってきたのは、
淡々とした説明だった。
「規定ですので」
その瞬間、
逆に笑いそうになった。
規定。
便利な言葉すぎる。
私はレシートを見直した。
追加料金。
セット料金。
よく分からない項目。
並んでいる。
でも、
納得できる説明はない。
しかも店側、
謝る感じもない。
“普通ですけど?”
みたいな空気。
その空気が、
余計に腹立たしかった。
周囲を見渡す。
他の席は普通に盛り上がっている。
笑い声。
乾杯。
ネオン。
なのに自分だけ、
「待機料金」を払わされてる気分だった。
私はスマホを取り出した。
レシートを撮る。
こういうの、
後で絶対「証拠残しといてよかった」ってなる。
怒りもあった。
でも同時に、
どこか冷静な自分もいた。
“ああ、
こういう店なんだな”って。
もちろん、
全部が悪いとは言わない。
楽しく飲める人もいると思う。
でも少なくとも、
私は今回かなりモヤモヤした。
接客を受けてない時間まで、
当然みたいに料金化される。
しかも説明不足。
これ、
普通に不信感残る。
店を出ると、
北新地の夜風が少し冷たかった。
ネオンは相変わらず綺麗で、
街はいつも通り回っている。
でも私の手元には、
61500円のレシートだけが残った。
帰り道、
少し笑えてきた。
いや、
高い勉強代すぎるだろって。
でも、
こういう“不条理な体験”って、
あとから誰かに話すと妙に盛り上がる。
「次はちゃんと確認してから座ろう」
そう思いながら、
私はレシートを財布にしまった。
北新地の夜は派手だった。
でも、
一番印象に残ったのは——
40分待たされて、
“規定です”の一言で61500円請求されたことだった。