早朝から夫と大喧嘩。その日の夕方事故に遭い死んでしまった夫の車中から見つかった「事故原因」に言葉を失う…
2026/05/12

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私は、夫との何気ない毎日が、この先もずっと続くものだと思っていた。
五歳の息子を育てながら、家ではだらしなく寝転ぶ夫に文句を言い、時には八つ当たりもした。
それでも、そんな騒がしい日常が当たり前だと思っていた。

その日も、私は朝早く起きて夫のお弁当を作っていた。
すると、ほんの些細なことから夫婦喧嘩になった。
原因はもう思い出せないほどくだらないことだった。

私は苛立ったまま夫を睨み、「もうアンタなんか帰ってこなくていいからね」と吐き捨てた。
すると夫は、不機嫌そうに「うるせー」とだけ返し、そのまま家を出ていった。

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普段なら、夜になって夫が帰宅すれば自然と仲直りしていた。
でも、その日は違った。

昼過ぎ、病院から電話がかかってきた。
夫が通勤途中に事故を起こしたという連絡だった。
私は頭が真っ白になったまま病院へ向かった。

病室で対面した夫は、もう冷たくなっていた。
高速道路で何かを避けようとしてハンドルを切り、そのまま事故を起こしたらしい。
私は現実を受け止めきれず、ただ泣き続けた。

その後、警察から夫の車に残されていた物を渡された。

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袋の中には、ぐしゃぐしゃに潰れたケーキと、一輪のバラが入っていた。

私はその場で言葉を失った。
きっと夫は、朝の喧嘩を気にしていたのだ。
仕事帰りにこれを買って、仲直りしようとしてくれていたのだ。

夫を亡くしてからも、私は息子の前では笑顔を作っていた。
でも心の中には、大きな穴が空いたままだった。
喧嘩したまま別れてしまった、あの日の朝を何度も思い出していた。

そんなある日。
保育園の帰り道で、息子が小さな手で私の手を握った。

そして、私を見上げながら言った。

「ママ、僕がいるよ」
「僕が大きくなったら、ママと結婚して、僕がパパになる」
「僕は絶対、ケンカしてもいなくならないよ」

私は立ち止まり、その場で涙が溢れた。
五歳の息子は、私が泣いていることにずっと気づいていたのだ。

私は息子を強く抱きしめた。
そして、夫の分まで、この子と一緒に生きていこうと心に決めた。

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