レジが少し遅れただけで、スーツ姿の男が怒鳴った。
「障害あるなら接客させるなよ」
店内の空気が一瞬で凍った。
レジ横には、“障がい者雇用へのご理解をお願いします”という貼り紙。
それでも男は止まらない。
「普通の店員呼べよ。客を待たせるな」
店員さんは小さく頭を下げ、震える手で会計を続けていた。
周囲は誰も声を出せない。
ところが数分後、男の顔色が急に変わった。
「あれ?財布がない…」
床、カゴ、ポケットを必死に探し始める男。
その時、さっき怒鳴られていた店員さんが静かに言った。
「お客様、先ほど袋詰め台に置かれていました」
見ると、財布は忘れ物としてきちんと保管されていた。
中身も無事。
男は真っ青な顔で固まった。
最後に彼を救ったのは、見下していたその店員さんだった。
男は小さな声で「すみません」と言ったが、店内の視線はもう冷たかった。