「継母のせいでブサメンと結婚させられた」――そう思った瞬間、私の心は絶望でいっぱいだった。
父が亡くなった後、家を守るため、従姉妹の命令に従い、ヨレヨレのチェックシャツに猫背のオタクゲーマー、智也のアパートへ向かった。
部屋に入った瞬間、圧迫感と不安に押し潰されそうになり、私は床に額をつけて謝った。「ごめんなさい、騙すつもりで来ました…」
しかし、智也は静かに、しかし力強く言った。
「君が嘘をつく必要なんてない。全て俺に任せてほしい。」
その瞬間、私の心に少しだけ光が差した。
彼は不器用で、ぎこちなくて、外見は冴えない。でもその目には揺るぎない誠実さがあった。
私の隣で黙って座るその姿だけで、なぜか安心できる自分がいた。
数日後、二人で歩く道端で、財布を落とした老人を助ける智也の姿を見た。
「困ってる人を見て見ぬふりはできない」
その真っ直ぐな言葉が、私の胸に深く刺さる。
そして、運命の不動産契約の日。
継母が画策した偽造書類と借金の罠――全て智也が調べ上げ、私を守ってくれた。
「お父さんの家は渡しません」
その声は静かで、確かで、誰も動けない重さを持っていた。
あの日、土砂降りの駅で渡された傘。
五年後、同じ人が私を守るために全力を尽くしてくれていた――それを知った時、涙が止まらなかった。
結婚の仮面も、借金の脅しも、全て無力だった。
智也の不器用な誠実さと行動こそが、私の家と人生を救ったのだ。