「うん、うちに来なよ――」
母を亡くし、親戚中からたらい回しにされた十六歳の金髪ギャル、真央。
冷たい視線と陰口の中で、彼女はただ膝の上で拳を握り締めていた。
その子を一人にはしておけない――そう思ったのは、アイドルオタクの洋介だった。チェック柄のシャツに缶バッジだらけのリュックを背負った不器用な青年。誰も手を挙げないなら、俺が引き取る。静かな声でそう言った瞬間、会議室の空気が止まった。
二人の不器用な共同生活が始まる。朝、洋介は台所で味噌汁を作り、焼き魚を並べ、真央の出方を見守る。無理に関わらず、必要なことだけを差し出すその距離感に、真央は反発と苛立ちを覚えつつも、徐々に心を許していった。
休日、真央がショッピングモールに出かけると、洋介はライブ会場で自然に動き回り、ステージ設営や客の対応まで手際よくこなしていた。
その姿を見て、真央は彼の不器用な日常と、頼れる側面のギャップに気づく。
月日が経ち、真央は服飾専門学校に進学。課題やパターン作りで苦戦する日々も、洋介は静かにサポートを続けた。サイト制作、撮影、接客……ブランド運営のあらゆる場面で支え、真央の創作を最大限に生かす。
そして五年後、人気アイドルとのコラボの話が舞い込み、ブランドが注目される日がやってきた。二人で積み重ねた努力が形となり、かつて親戚に押し付けられた「手に負えない少女」と「オタク青年」が、今では互いの力を最大限に引き出すパートナーになっていた。