最近、私の住むマンションでちょっとした騒動が起きた。
管理人から掲示板に貼られたお知らせには、こう書かれていた。「へタクソなラップの練習の音がうるさい」「歌詞も品性下劣で気色悪い」との苦情が入っています。時間帯は昼夜を問わず、と強調され、入居者に思いやりを持つようにとの呼びかけもあった。
掲示板の文字を目にした瞬間、私は思わず笑ってしまった。ベランダから響くラップの練習音――確かに下手ではあるけれど、そこまで厳しい言葉で表現する必要があるだろうか。しかも「昼夜問わず」なんて、ちょっと大げさすぎる。
それでも、苦情を出した入居者の気持ちもわからなくはない。音が響けば集中できないし、夜に大声で歌われれば眠れなくなることもあるだろう。マンションで暮らす以上、互いの生活を尊重するのは大切だ。
しかし、この告知の文面が面白すぎた。注意喚起の文章なのに、どこか滑稽で、思わず“これは笑い話にしかならない”と思ったほどだ。
「品性下劣」「聞くに堪えない」とまで書かれて、まるで私たち住人全員が裁判員になったかのような緊迫感が漂っている。
この騒動は、結局ラップの音の大小ではなく、コミュニケーション不足から生まれた小さな衝突だと思う。掲示板を見た多くの住人は、苦情に驚きつつも、笑いながらも注意を心に留めた。
マンション生活は、互いの距離感や思いやりで成り立っている。ヘタクソなラップも、うるさいかもしれないが、少しのユーモアと理解があれば、もっと楽しい共同生活になるはずだ――そう気づかせてくれた、ちょっと変わったお知らせだった。
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