交差点で暴走車から女の子を突き飛ばし、俺は片足を失った。
命は助かったが、仕事も生活も全部変わった。
女の子の両親は泣きながら頭を下げた。
「あなたが亡くなるまで、年50万円を補償し続けます」
正直、受け取るのはつらかった。
でもリハビリにも義足にも金がかかる。
俺は黙って、その気持ちを受け取ってきた。
それから10年後。
助けた女の子が結婚すると聞いた。
式場で彼女は、俺の前に来るなり深く頭を下げた。
「私、あなたに生かされた人生を、ちゃんと幸せにします」
俺は封筒を差し出した。
中には、10年分の補償金を少しずつ貯めた通帳。
「これは君の未来に返す。俺の足は戻らない。でも君が幸せに歩く姿を見られたなら、それで十分だ」
彼女は泣き崩れた。
失った片足より、救えた命の重さを、その日初めて実感した。