1977年 「タバコ買ってくる」と出た夫の失踪事件…18年後、友人宅の庭で発見された「夫の財布」
2026/05/28

広告

昭和五十二年、岡山県倉敷市で、地元の工場に勤める松本真琴さんが突然姿を消した。四十二歳の真琴さんは、妻の恵子さんと娘の美穂さんとともに、穏やかな家庭を築いていた。仕事では製造課長として信頼され、家庭では娘の成長を何より楽しみにする、真面目な父親だった。

十一月十八日の夜、家族で夕食を終えた真琴さんは「タバコを買ってくる」と言い、家から百メートルほど先のタバコ屋へ向かった。しかし、彼はそのまま帰ってこなかった。店の主人は「その夜、松本さんは来ていない」と証言し、警察は失踪事件として捜査を始めた。

当初、疑いの目は職場の後輩・田中浩二さんに向けられた。田中さんは真琴さんから借金をしており、昇進をめぐるわだかまりもあった。さらに失踪当夜のアリバイも曖昧だったため、警察は彼を重点的に調べた。しかし後に、田中さんは広島出張中だったことが判明し、容疑は外れた。

一方、真琴さんの親友である佐藤茂さんは、残された恵子さんと美穂さんを支え続けた。

広告

買い物や警察との連絡、娘の節目にも寄り添い、まるで家族のように振る舞った。恵子さんは夫の帰りを信じながら働き続け、美穂さんも父のいない人生を歩んだ。

事件は未解決のまま十八年が過ぎた。平成七年、佐藤さん宅の庭を整理していた際、土の中から古びた財布が見つかった。中には松本真琴さんの免許証と保険証が残されていた。

長年、毎日のように挨拶を交わし、家族を支えてきた親友の家の庭。そこで見つかった夫の財布は、十八年間止まっていた事件を一気に動かした。信じていた友情の裏に何があったのか。百メートル先のタバコ屋へ向かった夜、真琴さんに何が起きたのか。静かな町に、再び重い疑念が広がっていった。

広告

AD
記事