昭和51年、長野県北部の小さな農村で、田中美智子さん(当時25歳)は忽然と姿を消した。結婚三年目、若く穏やかな彼女は、毎朝早くから夜遅くまで、姑に酷使され、温かい食事さえゆっくり取れない生活を送っていた。夫・しげるも姑の命令に従うだけで、彼女を守ることはなかった。
三年間の耐え忍ぶ日々。疲れ果て、心身の限界を感じた美智子さんは、ついに決意する。「もう我慢しない。実家に帰りたい。」だが、その一歩が、取り返しのつかない悲劇を呼ぶことになるとは誰も知らなかった。
その後、美智子さんは家の裏庭に身を潜め、誰にも気づかれず16年間を過ごす。日々の苦しみと孤独に耐え、静かに時を重ねた彼女。しかし平成4年、夫の再婚式の準備で庭を広げようとした工事業者がスコップを入れた瞬間、埋もれていた真実が露わになった。
十六年前に消えた嫁は、土の中で静かにその時を待っていたのだ。なぜ彼女は死ななければならなかったのか、誰がその運命を決めたのか。
そして、なぜ長い間、誰も気づかなかったのか。この物語は、ある家族の取り返しのつかない秘密を今に伝える。