英明、38歳。俺はフリーランスとして働き、妻の陽子は銀行員として働いていた。
結婚当初は順調だった。だが問題は、義父だった。
義父は頻繁に家へ来ては、在宅で働く俺を見下した。
「男なら外で働け」「家でゴロゴロしてるだけだろ」
陽子もいつも義父の味方だった。俺が反論すると、二人で責め立ててくる。
そんな生活が続いたある日。夕食中、陽子が突然言った。
「新しいマンションに引っ越すから」
俺は反発する気力もなく了承した。
だが引っ越しても状況は変わらなかった。義父は毎日のように来て、俺を馬鹿にする。
「お父さんを呼ぶの控えてくれ」
そう頼んでも、陽子は、
「家族なんだから普通でしょ」
と言い返した。
ある日、言い争いのまま俺は打ち合わせへ向かった。帰宅すると、リビングのテーブルに離婚届が置かれていた。
義父はニヤニヤ笑いながら、
「お前も出ていけばいい」
と言った。
陽子も冷たい目で、
「本気で離婚したいんでしょ?」
と言い放った。
俺は黙って荷物をまとめた。
「本当にいいんだな?」
最後に確認すると、陽子は、
「頭冷やしてくれば?」
とだけ返した。
俺は離婚届を提出し、家を出た。
一か月後。新居のインターホンが鳴った。
モニターには陽子と義父が映っていた。
部屋へ入れると、義父が驚いた顔で聞いた。
「このマンション、陽子のじゃないのか?」
俺は静かに答えた。
「俺が買った部屋だ」
義父は陽子を見た。陽子は青ざめ、黙り込んだ。
次の瞬間。陽子は床へ膝をつき、泣きながら頭を下げた。
「お願い、やり直したいの」
だが俺は首を振った。
「もう他人だよ」
陽子は泣き崩れたが、俺はその手を振り払った。
その後、陽子と義父は古いアパートで暮らしているらしい。
俺は今日も、新しい技術を学びながら静かに働いている。
あの日、家を出て正解だった。