病院の待合室で、私は吐き気とめまいで立っているのもやっとだった。
ようやく空いた席に座り、必死に呼吸を整えていると、目の前に老人が立った。
「何座ってんの?どいて」
一瞬、聞き間違いかと思った。
私が「すみません、具合が悪くて…」と言いかけた瞬間、隣のオバさんが私の腕を強くつかんだ。
「ほら立って。若いんだから」
そのまま強引に引っ張られ、私はバランスを崩して床に座り込んだ。
周囲は見ているだけ。
悔しさと情けなさで涙が出そうになった、その時。
受付の女性がカウンターから出てきて、強い声で言った。
「今すぐその席を空けてください。その方は緊急で診察が必要な患者さんです」
空気が一瞬で凍った。
老人とオバさんの顔色が変わる。
受付の女性はさらに続けた。
「体調不良の方を床に座らせる病院ではありません」
その一言で、さっきまで偉そうだった二人は何も言えなくなった。