
帰宅前にスマホを開いた瞬間、
胃が沈んだ。
妻からの長文メッセージ。
スクロールしても終わらない。
そこに並んでいたのは、
“産後にあなたが言った言葉”。
最後に一行。
「もう限界です」
正直、意味が分からなかった。
たった一度の誕生日会だ。
母が「うちでやろう」と言って、
料理も全部持ってくると言っていた。
準備もほとんどいらないはずだった。
でも、
妻はその時、不安そうに言っていた。
「私、何もできないけど大丈夫かな」
俺は軽く返した。
「誰も期待してないからw」
冗談のつもりだった。
でもその瞬間、
妻は泣き出した。
その時は正直、
そこまでのことかと思っていた。
でも違った。
俺はさらにミスを重ねた。
当日、準備を任されていたのに、
完全に忘れて出勤した。
帰宅すると、
空気がおかしかった。
母と姉は普通に話している。
でも妻だけが違った。
笑っているのに、
目が笑っていない。
子どもが泣いて、
別室に行ったまま戻ってこない。
様子を見に行くと、
一人で涙を拭っていた。
その時、初めて思った。
——やばいな
でも、
何も言えなかった。
そのまま誕生日会は終わった。
みんなが帰った後、
数分で妻の表情が消えた。
無表情だった。
でも子どもには、
優しく話しかけていた。
そのギャップが怖かった。
そして今、
このメッセージだ。
「悪気がないなら、一生治らない」
その一文が、
一番刺さった。
俺はやってるつもりだった。
仕事して、
家事も多少して、
育児も手伝っている。
でも——
全部ズレていた。
妻が欲しかったのは、
手伝いじゃなくて、
“尊重”だったんだと思う。
一番きつい時に、
「期待してない」と言われて、
約束も守られなかった。
それが、
全部だった。
俺は今、
初めて分かった気がした。
壊れたのは誕生日会じゃない。
その前から、
少しずつ壊れていたんだと思う。