コンビニの駐車場に入った瞬間、子どもが車の前に飛び出してきた。
教習所で何度やっても苦手だった急ブレーキを、体が勝手に踏んでいた。
心臓が止まるかと思った。
慌てて車を降り、
「大丈夫?ぶつかってない?怪我してない?」
と確認した。
そして子どもに言った。
「本当にぶつかったら、命に関わるからね。もう飛び出したらダメだよ」
その時、父親がスマホから顔を上げて、
「何してんだよ!」
と私に怒鳴ってきた。
違う。
何してんだよは、こっちの台詞だ。
見なきゃいけないのはスマホじゃなくて、自分の子どもだろ。
私は震えながら言った。
「子どもの命の責任を、他人に押しつけないでください」
父親は何も言い返せなかった。
怖かったのは急ブレーキじゃない。
親が見ていなかったことだった。