近所に、少し有名な日本画家がいた。体は不自由で車いす生活を送っていたが、品が良く、優しい人だった。近所の子どもたちは皆、遊びに行くとおやつをもらえるのが楽しみだった。
初めて私が画家の家を訪れた日、彼は涙を流した。奥さんではない、昔から深く愛していた人に私が似ていたらしい。その日から、私だけ別で遊ぶように言われ、私はソファに横になりながらも、ずっと彼の目に見つめられた。変なことをされるわけではなく、ただじっと顔を見ているだけ。
行くたびにお小遣いをくれた。小学6年生だった私に1万円もくれることがあり、親には内緒で隠していた。彼は末期のがんで、自らの死期を悟っていたのか、ある日には遺産の一部を私に贈与したいとまで話が発展した。しかし親は「もう行くな」と言い、結局最後にお別れすることは叶わなかった。
私は大人になるまで、そのお小遣いを秘密に持ち続けた。あの静かな日々、画家の優しさと少しの切なさ、そして子ども心に刻まれた特別な記憶は、今も胸の奥で色褪せない。