義兄嫁からの連絡は、あまりにも唐突だった。
「生活費を援助して欲しいんです。お義母さんは月9万円、あなた達夫婦と義妹夫婦は月3万円でお願いします」
その金額と配分を見た瞬間、思わず言葉を失った。
「何で私たちが?」
そう返すと、義兄嫁は少し間を置いてから、切迫した声で続けた。
「今、本当に困ってるんです……お昼もお菓子しか食べられないくらいで……」
同情を引くような言い方だったが、具体的な根拠は何も示されない。
義母や義妹夫婦に確認しても、誰もそのような話は聞いていなかった。
むしろ、義兄嫁の生活ぶりは以前から「特に困っている様子はない」と感じていた者が多かった。
私たちは一度冷静に話し合うことにした。
そして出した結論はシンプルだった。
「個別に援助の要請を受ける理由が不明確であり、全員での負担分配にも合理性がないため応じない」
その返答を送った翌日、義兄嫁から再びメッセージが届いた。
今度はさらに感情的だった。
「冷たい!家族なのに助けてくれないなんて!」
だが、そこで義母が動いた。
「一度、家計の明細を全部見せなさい」
義母のその一言で、状況は一変する。
数日後、義実家に集まった場で、義兄嫁の家計が初めて“可視化”された。
そこには、食費や光熱費よりも優先されている高額な通販履歴と、不要なサブスク契約が並んでいた。
「お昼がお菓子しか食べられない」という言葉とは、明らかに矛盾していた。
沈黙の中、義兄が低い声で言った。
「援助の話は、一度白紙に戻そう」
義兄嫁は何も言えず、ただ下を向いていた。
その日を境に、家族間の金銭の話し合いは“感情”ではなく“数字”で行うことが決まった。