嫁「別れてください。親権はあなたに譲ります。養育費も慰謝料も払います」俺「は?なんの冗談かい?」嫁「上司と男女の仲になった。上司の子の母親になる決心をしました」
2026/06/30

広告

「別れてください」

夕食の後、妻の美咲はそう言って、静かに離婚届をテーブルへ置いた。

俺は最初、質の悪い冗談だと思った。

「は? なんの冗談かい?」

しかし美咲の表情は、冗談を言う人間のものではなかった。

「親権はあなたに譲ります。養育費も払います。慰謝料も、できる限り払います」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が冷たくなった。

隣の部屋では、まだ幼い息子が積み木で遊んでいる。

あの子を置いていくと言うのか。

俺は声を抑えながら尋ねた。

「理由を言え。何があった」

美咲は一度だけ目を伏せ、震える声で答えた。

「上司と……男女の仲になった」

空気が止まった。

「それだけじゃないのか」

俺の問いに、美咲は唇を噛んだ。

「上司の子の母親になる決心をしました」

その瞬間、怒りより先に、信じていた年月が音を立てて崩れた。

家族のために残業を増やし、休日には子どもを連れて公園へ行き、美咲が疲れている日は家事も引き受けてきた。

それでも、彼女の心は俺ではなく、別の男のもとへ向かっていた。

広告

「息子の母親をやめるってことか」

俺がそう言うと、美咲は泣きながら首を振った。

「違う。でも、もう戻れない」

俺は離婚届を手に取り、破らずに封筒へ戻した。

「分かった。ただし、息子を傷つけたことだけは、一生忘れるな」

美咲は何も言えなかった。

その夜、息子が眠ったあと、俺は初めて一人で泣いた。

けれど翌朝、息子が小さな手で俺の袖を握り、「パパ、今日も一緒にいてね」と笑った。

その瞬間、俺は決めた。

裏切られた夫としてではなく、この子の父親として生きていくと。

広告

AD
記事