『離婚しましょ』と重々しく切り出した私に『その前に、お前さ・・』と旦那がとんでもない話を始めた
2026/05/10

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由美子は、結婚して十年になる夫・健一との関係に悩んでいた。共働きで忙しい毎日を送り続けるうちに、夫婦の会話は減り、心の距離も少しずつ離れていった。

ある日の夕食後。リビングでくつろいでいた健一に、由美子は静かに声をかけた。

「健一、少し話があるの」

夫は驚いたように顔を上げたが、すぐに真剣な表情になり、「何だい?」と聞き返した。由美子は深く息を吸い込み、覚悟を決めて言った。

「離婚しましょ」

その瞬間、健一は目を見開いた。だが、すぐに視線を落とし、静かな声で話し始めた。

「その前に、お前さ……最近ずっと悩んでただろ」

夫は、由美子の変化に気づいていたという。けれど、怖くて聞けなかった。そして、今しか話せないと思ったらしい。

健一は少し迷うように口を開いた。

「最近、変な夢を見るんだ。夢の中で、俺とお前の間に子どもがいるんだよ」

由美子は驚きながらも、不思議と胸がざわついた。

「もしかして……妊娠してるかもしれないってこと?」

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そう聞くと、健一は静かにうなずいた。

翌日、由美子は病院へ向かった。検査結果を聞いた瞬間、思わず涙があふれた。

妊娠五週目だった。

自分が妊娠していることにも気づかず、離婚を切り出した。そう思うと、情けなさと後悔で胸がいっぱいになった。

帰宅後、由美子は健一に結果を伝えた。夫は驚いた顔をしたあと、すぐに由美子を抱きしめた。

「これからは、一緒に頑張ろう」

その言葉を聞いた瞬間、由美子の涙は止まらなかった。

それから二人は、もう一度夫婦として向き合い始めた。やがて出産の日を迎え、健一はずっと由美子のそばで支えてくれた。

長い陣痛の末、元気な男の子が生まれた。

夫婦は泣きながら、小さな命を抱きしめた。

出産後も、健一は積極的に育児を手伝ってくれた。由美子が体調を崩せば、お粥やスープを作り、夜中に赤ん坊が泣けば一緒に起きてくれた。

忙しい毎日だった。それでも、三人で囲む食卓には、以前にはなかった温かさがあった。

離婚寸前だった夫婦は、一つの命に救われた。

今の由美子にとって、夫と息子と過ごす時間が、何より大切な幸せになっていた。

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