10年家にいなかった夫が、娘の誕生日も来なかったくせに、遺産の話を聞いた途端に「同居しよう」と言い出した結果
2026/04/01

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インターホンが鳴った瞬間、嫌な予感がした。

ドアを開けると、そこに立っていたのは——義母と、見知らぬ初老の男。

数秒見つめて、やっと分かった。

「……ひろし?」

10年前に出て行った夫だった。

何事もなかったかのように家に上がり込み、義母も当然のように靴を脱ぐ。

「コーヒーある?俺はお茶でいい」

……は?

一瞬で空気が冷えた。

私は深呼吸して言った。

「ご用件は?」

義母は得意げに封筒を広げる。

中には豪華な家の設計図と外車のパンフレット。

「理想の二世帯住宅よ。遺産で建てて、みんなで住みましょう」

夫も続ける。

「家族は一緒が一番だろ?」

その言葉に、思わず笑いそうになった。

でも声は出なかった。

その時——

階段から娘が降りてきた。

図面を見て、ふっと笑う。

「ほらね、お母さん。言った通りでしょ」

私も思わず吹き出した。

義母と夫は、それを“同意の笑い”だと勘違いしたらしい。

「やっぱり家族だものね!」

次の瞬間、娘の表情が変わった。

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「虫が良すぎるんじゃない?」

空気が止まる。

「10年間、母子家庭みたいに放置しておいて、遺産の匂いがしたら“家族”?」

「正直、都合よすぎて笑えるんだけど」

夫の顔が歪む。

「俺を追い出したのはお前たちだろ」

……は?

娘が即座に返す。

「風邪で寝込んでる母親と子どもに“俺の飯は?”って言った人が?」

「それで出て行って10年帰らなかったの、誰?」

完全に言葉を失う夫。

義母も目を逸らす。

そこで私は、静かに口を開いた。

「十年の別居は、もう十分です」

夫が焦ったように言う。

「俺は生活費を振り込んでた!」

「父親の役目はそれだけじゃない」

学校行事も、受験も、就活も。

全部、二人で乗り越えた。

あなたはいなかった。

義母が慌てて口を挟む。

「三億円の遺産で家を建てれば——」

私は思わず笑った。

「三等分を三億って思ってたの?」

「残念だけど、そんなに残ってないよ」

その瞬間、義母の顔が崩れた。

完全に当てが外れた顔だった。

それがすべてだった。

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三ヶ月後、離婚は成立した。

その間、復縁を迫る連絡は一日何十通。

すべて保存して、法的対応を伝えたら止まった。

娘は春から一人暮らしを始める。

私は正社員として働きながら、新しい生活を始める。

10年。

長かった。

でも——

あの時間があったから、今がある。

私は娘と顔を見合わせて笑った。

「これからは、自分の人生を使うわ」

娘も笑って言った。

「やっとだね」

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