「カップルなんだからいいでしょ?」私のエビフライを全部食べた彼氏が、店内で凍りついた話
2026/05/26

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その日は久しぶりの外食だった。

駅前の小さなトンカツ屋。

私は前から食べたかった
エビフライ定食を注文した。

揚げたての大きなエビが三本。

写真まで見ながら、
「絶対これにする」
って決めていた。

一方、
彼氏はいつもの感じだった。

「俺、普通のでいいや」

ロースカツ定食。

でも私は知っていた。

“普通のでいい”
と言いながら、
結局いつも人の皿を狙うことを。

ポテトを頼めば、
「一口ちょうだい」

唐揚げを頼めば、

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「それ一個うまそう」

デザートを頼めば、
「半分くれるよね?」

しかも、
断ると空気が悪くなる。

「ケチくさ」
「彼女なのに?」
「それくらいいいじゃん」

毎回そんな感じだった。

だから今回は、
料理が来る前にはっきり言った。

「私のエビフライ、
食べないでね」

すると彼氏は笑った。

「子どもじゃないんだからw」

私は少し安心した。

ちゃんと伝えたし、
さすがに今回は大丈夫だろうと思った。

その後、

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料理が来る直前に
私はトイレへ立った。

数分だったと思う。

でも席に戻った瞬間、
私は固まった。

私のエビフライ定食が、
彼氏の前に置かれていた。

しかも。

彼氏が普通に食べていた。

箸を持ったまま、
当然みたいな顔で。

一瞬、
頭が理解できなかった。

え?

と思って皿を見る。

タルタルソースは崩れ、
キャベツは散らかり、
エビフライは——

一本も残っていなかった。

私は思わず声が出た。

「……え?」

すると彼氏は、

悪びれる様子もなく言った。

「ちょっと味見しただけw」

いや、
全部なくなってるけど。

私は黙った。

怒りより先に、
なんか急に冷めた。

この人、
本当に“嫌だ”って言葉を軽く扱うんだ。

そう思った。

でも彼氏は全然気づいていない。

むしろ笑いながら言った。

「カップルなんだから別にいいじゃん」

その瞬間だった。

隣の席にいた女性が、
静かに店員さんを呼んだ。

「すみません」

店員さんが近づく。

すると女性は、
少し呆れた顔で言った。

「この方、
彼女さんの分を全部食べてましたよ」

店員さんの表情が止まった。

周囲の空気も変わる。

彼氏は苦笑いしながら言った。

「いやいやw
そんな大げさな話じゃ…」

でも、
誰も笑わなかった。

店員さんも困った顔をしていた。

その空気の中で、
彼氏だけが
“自分は悪くない”
という顔をしていた。

それを見た瞬間、
本当に無理だと思った。

私は静かに財布を出した。

そして、
自分の分の代金だけテーブルに置いた。

彼氏が驚いた顔をする。

「え?何?」

私はできるだけ普通の声で言った。

「じゃあ、

その定食代と、
あなたの食い意地、
全部自分で払って」

店内が静まり返った。

彼氏の顔だけが、
一気に赤くなる。

「は?ちょっと待って」

「そんな怒ること?」

「たかがエビフライじゃん」

でも、
もうどうでもよかった。

これはエビフライの話じゃない。

“嫌だ”
って言ったことを、
笑いながら踏み越えてくること。

それが無理だった。

私はそのまま店を出た。

後ろで彼氏が何か言っていたけど、

振り返らなかった。

外の空気は少し冷たくて、
なんか逆にスッキリした。

そのあとLINEは大量に来た。

「空気悪くしすぎ」
「周り巻き込む?」
「普通そこまで怒る?」

でも。

最後まで、
彼は分かってなかった。

私が怒ったのは、
エビフライを食べられたからじゃない。

“私が嫌がることを、
面白がって踏み越えたこと”

そのものだった。

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