新幹線の指定席に座った瞬間、知らない男性に「席を間違えてますよ!」と絡まれた。
切符を確認しても合っているのに、男性は「間違えてる」の一点張り。周囲の視線が痛く、心臓がドキドキする。
どうにもならず、気まずく息をついていると、夫が電話を終えて戻ってきた。
彼は状況を見てすぐに理解すると、落ち着いた声で男性に話しかけた。「もう一度、切符をご確認ください」
男性は渋々確認し、自分の勘違いに気づいた。態度は一変するが、謝罪の言葉はない。
私は理不尽さに腹が立つ一方、夫の冷静さに救われた気持ちになる。周囲の乗客もそっと見守ってくれていた。
列車内は再び静かになり、私は窓の外を眺める。景色は変わらないけれど、心の中の緊張はすっと消え、旅の楽しさが戻る。
こんな風に絡まれることもあるけれど、冷静に対応してくれる人がいるだけで、救われるものだ。
やがて次の駅が近づき、私は夫に小さく笑いかける。
「ありがとう、助かったわ」
列車は揺れながら進む。小さな事件も、思い出のひとつになる――そう感じながら、私は旅を続けた。