机の上に置かれていた封筒を見た瞬間、手が震えた。
黒白の水引。
表書きには「御佛前」。
付箋には、こう書かれていた。
「忙しくて行けないので先に渡しておきます」
一瞬、意味が分からなかった。
ちなみに、母はまだ生きている。
病気ではある。
心配な状態ではある。
でも、勝手に“亡くなった前提”で御佛前を渡してくるなんて、常識の範囲を完全に超えている。
忙しいとか、気を利かせたとか、そういう問題じゃない。
人の親の命を、仕事の段取りみたいに先回りするな。
怒りで涙が出そうになった。
これは笑って済ませる話ではない。
私はこのまま社長に相談する。
失礼にも限度がある。