診察室に呼ばれた私たちは、医師から症状について説明を受けた。
首、胸、背中に広がる発疹を見た医師は、少し表情を曇らせながらこう言った。
「一般的な皮膚炎とは違う可能性があります。」
私は息をのんだ。
すると医師は続けた。
「性的接触による感染症も疑われます。」
その瞬間、頭が真っ白になった。
私はゆっくり夫を見た。
しかし夫は目を合わせようとしなかった。
その態度だけで十分だった。
私はすべてを察した。
病気そのものよりも、その事実の方が何倍も衝撃だった。
もし感染の可能性に気づいていたのなら、なぜ私に言わなかったのか。
なぜ何もなかったように同じ家で暮らし続けたのか。
帰宅後、夫は小さな声で「ごめん」と言った。
でも、その一言では何も消えなかった。
私は冷静に言った。
「今日から別室で寝て。」
タオルも歯ブラシもコップも全部分けた。
翌日には自分自身の検査予約も入れた。
夫の行動のせいで、私まで不安を抱えなければならない現実が悔しかった。
数日後、私は診断書や検査予約票を机に並べ、夫に事実を説明させた。
言い訳はいらない。
必要なのは責任だった。
浮気そのものも許せない。
でも私が本当に許せなかったのは、自分の保身を優先し、私の健康を危険にさらしたことだった。
あの日、救急外来で私が恐れていたのは病気ではない。
隣で眠っていた人間の本性だった。
そして私はようやく、自分自身を守るために行動しなければならないと気づいたのである。