彼女とは学生時代からの友人だった。
一緒に旅行にも行った。
恋愛相談もした。
結婚した時にはお互い涙を流して祝福し合った。
私はずっと親友だと思っていた。
だから誕生日やお祝い事の時は、少し良いものを選んでいた。
デパートの化粧品。
人気店のお菓子。
限定品の紅茶。
決して高価な自慢ではない。
ただ相手が喜ぶ顔が見たかった。
ところが彼女からのお返しは、いつも似たようなものだった。
スーパーの値引きシールが剥がし切れていないお菓子。
まとめ売りコーナーの商品。
福袋の余り物のような雑貨。
最初は気にしなかった。
人には事情がある。
金額なんて関係ないと思っていた。
でも違和感は少しずつ積み重なっていった。
ある日、共通の知人から聞かされた。
「○○ちゃん、あなたのこと言ってたよ。」
嫌な予感がした。
「また高いもの買ってるらしいよ。」
「見栄っ張りだよね。」
「お金の使い方下手なんだって。」
私は耳を疑った。
私が彼女に贈った物も、
全部「無駄遣い」の一言で片付けられていた。
それでも私は縁を切らなかった。
長い付き合いだったからだ。
きっと何か誤解があると思いたかった。
そして迎えた私の誕生日。
彼女は笑顔で紙袋を渡してきた。
「絶対好きだと思って。」
帰宅して開けた私は固まった。
中に入っていたのは焼き菓子だった。
何気なく賞味期限を見る。
私は思わず二度見した。
期限が切れていた。
一週間前の日付だった。
間違いかと思った。
でも違った。
他の商品も確認した。
全部ギリギリか、既に期限切れだった。
私はしばらく箱を見つめた。
悲しいより先に、何かが終わった音がした。
翌日、私は彼女に連絡した。
「これ賞味期限切れてたよ。」
すると彼女は笑いながら言った。
「食べられるから大丈夫でしょ?」
その瞬間、決定的だった。
大事なのはお菓子じゃない。
値段でもない。
相手を大切に思う気持ちだった。
私は静かに言った。
「もういいよ。」
彼女は意味が分からない顔をしていた。
でも私はそれ以上説明しなかった。
長年の友情は、期限切れのお菓子一つで終わったわけじゃない。
積み重なった違和感と軽視が、
その日ようやく形になっただけだった。
それから私たちは連絡を取っていない。
時々思う。
本当の友達は、高い物をくれる人じゃない。
少なくとも、
相手に渡す物の賞味期限くらいは確認する人だと思う。