「そのチャーシュー、犬の薬を塗ったばかりなんです」――盗んだおばさんが30分後に真っ青になった話
2026/06/16

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その日、私はスーパーで少し高めのチャーシューを買った。

週末に家族で食べる予定だったので、奮発して購入したものだ。

買い物の途中、荷物が多かった私は一度車へ戻り、チャーシューの入った袋を後部座席へ置いた。

その後、別の店で用事を済ませて戻ってくる。

ところが車を開けた瞬間、違和感を覚えた。

袋がない。

何度見てもない。

嫌な予感がした。

近くの防犯カメラを確認すると、一人のおばさんが私の車の周辺をうろうろしている。

そして周囲を確認した後、何食わぬ顔で袋を持ち去っていた。

私はすぐに警察へ相談した。

映像もある。

犯人の顔も映っている。

これならすぐ見つかると思った。

しかし返ってきた言葉は予想外だった。

「被害額が少額ですので……」

「記録は残しますが……」

正直、腹が立った。

金額の問題なのだろうか。

盗みは盗みだ。

そこで私は思い出したように言った。

「あ、そういえば。」

警察官が顔を上げる。

私は真顔で続けた。

「そのチャーシュー、犬の薬を塗った直後だったんです。

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「食用ではなかったので、もし食べたら体調を崩すかもしれません。」

すると警察官の表情が変わった。

「え?」

「それは本当ですか?」

「もし口にしたら危険なんですね?」

私は頷いた。

すると急に空気が変わった。

「特徴は?」

「映像はありますか?」

「どちらへ向かいましたか?」

さっきまで消極的だった警察官たちが慌ただしく動き始めた。

それから約30分後。

警察は防犯カメラの映像からおばさんを特定した。

おばさんの自宅を訪ねた警察官は事情を説明した。

すると、おばさんはみるみる顔色を失ったという。

「えっ!?」

「犬の薬!?」

「もう食べちゃったかもしれない!」

慌てて家の中を確認し始めたらしい。

さらに、

「いや、その……」

「拾っただけで……」

「もらったと思って……」

などと言い訳を始めた。

しかし袋の中身を知っている時点で、盗んだことは明らかだった。

警察官が確認すると、おばさんはとうとう認めた。

「すみません……」

「出来心だったんです……」

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その後、おばさんは震えながらチャーシューを返却した。

最初は強気だった態度も消え失せていた。

後日、対応してくれた警察官が私に尋ねた。

「ところで、本当に犬の薬を塗っていたんですか?」

私は少し笑った。

「いえ。」

「普通のチャーシューです。」

警察官は一瞬固まった後、苦笑いした。

私は肩をすくめた。

だって仕方がない。

盗んだ本人が慌てるくらい心配するなら、最初から人の物に手を出さなければよかっただけなのだから。

そして私は改めて思った。

人は、自分が被害者になるかもしれないと思った瞬間にだけ、急に真面目になるものらしい。

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