私は独身時代にマンションを購入した。
駅から近く、仕事にも便利な場所だった。
結婚後は夫と二人で暮らすつもりだった。
ところが結婚して数か月後。
義弟夫婦がやって来た。
「今のアパート更新だからさ。」
「次の家が見つかるまで住まわせて。」
夫も言った。
「数か月だけだから。」
私は渋々了承した。
ところが半年経っても出て行かない。
一年経っても変わらない。
二年経つ頃には義弟夫婦の子どもまで生まれていた。
そして三年。
私の家なのに、
私は自分の家でくつろげなくなっていた。
ある日の親族の食事会。
私は意を決して話した。
「そろそろ引っ越しの予定はありますか?」
義弟が箸を止める。
「は?」
私は続けた。
「もう三年ですし。」
「私たちも生活がありますから。」
義弟は笑った。
「家族だろ?」
義母も口を挟む。
「そうよ。」
「助け合わなきゃ。」
私は夫を見る。
助けてくれると思った。
しかし夫は黙っていた。
私はもう一度言った。
「でもこの家、私の名義ですよね。
」
その瞬間だった。
義弟が立ち上がった。
「うるせぇな!」
バシッ!!
頬に衝撃が走った。
会場が静まり返る。
義弟は怒鳴った。
「家族相手に金の話するな!」
「冷たい女だな!」
私は夫を見た。
夫は下を向いていた。
何も言わない。
止めない。
謝らない。
守らない。
その瞬間。
私は全部理解した。
義弟だけじゃない。
義母だけじゃない。
夫も同じだった。
この人たちは私を家族だと思っていない。
ただ都合よく利用しているだけだった。
私はゆっくり立ち上がった。
そして言った。
「分かりました。」
全員がこちらを見る。
私は静かに続けた。
「家族ごっこは今日で終わりです。」
義母が顔をしかめる。
「何その言い方。」
私は笑った。
「家族なら、妻が殴られた時に誰か止めますよ。」
誰も反論できなかった。
翌週。
私は弁護士事務所へ向かった。
その三か月後。
義弟一家には退去命令。
夫には離婚届。
義母からは何十件も電話が来た。
最後まで言っていた。
「家族なのに冷たい。」
私は答えた。
「私もそう思います。」
「だから、妻が殴られた時に黙っていたあなたたちとは家族を続けられないんです。」
そして電話を切った。
あの日、失ったのは家族じゃない。
最初から家族ではなかった人たちだった。