停車中、信号待ちをしていた俺の横で、小さな衝撃音が響いた。振り向くと、数メートル先で一人のガキが自転車と共に倒れていた。泣き叫ぶ声が耳に刺さる。「痛いよー!」とそのガキ。もう一人のガキが近寄り、顔を覗き込んで囁いた。「骨、折れたんじゃね?」
俺は慌てて車から降り、手を差し伸べた。「病院行こう、動かさない方がいい」その瞬間、倒れたガキが怪訝そうな目で俺を見上げ、口を尖らせた。「黙っててやるから、三万円ちょうだい」
耳を疑った。頭が真っ白になり、思わず言葉を失う俺に、周囲の子供たちが嘲笑混じりの視線を向ける。だが、そこで俺は深呼吸し、冷静に声を落とした。「は?」
状況は急転直下した。俺はすぐにスマホを取り出し、警察と救急に連絡。ガキは最初こそ騒いでいたが、俺の毅然とした態度に次第に押され、抵抗の声は小さくなった。やがて警察が到着し、事情聴取が始まる。両親も呼ばれ、三万円などと要求していたことが明るみに出た。
結局、現場での示談などは成立せず、ガキたちの悪質な示談要求は無効とされ、俺は怪我のないままその場を離れた。しかし、あの瞬間の緊迫感と、理不尽な要求に直面した怒りは、今でも鮮明に記憶に残っている。