「どいてくれ!そこ、ワシの席なんや!」朝9時、喫茶店で怒鳴り声をあげたのは常連のおっちゃんでした。いつもぼくの目の前の席に座って新聞紙を広げる、しかめっ面のおっちゃん。「今日は来ないなぁ」と思ってたら、その席に女性が座られました。それから遅れること約5分、
いつもより遅く登場したおっちゃんがその女性に向かって、冒頭のセリフを大声で叫ばれたのです。あっけに取られた女性は何も言いかえせずにおっちゃんを見上げげ、2人がニラみあう形に。
ぼくが間に入るべきなんかな…
そう思っていた矢先に、カウンターからスッと出てきたのは金髪のお兄ちゃん。
そしておっちゃんに向かって、「こちらはお客様の席ではありませんよ」とか「他のお客様のご迷惑になります」とかではなく、
「お客様、いつもお越しいただき、ありがとうございます。いつもこちらのお席をご利用いただいているのは存じておりますが、あちらに、ボクがこの店内で一番気に入っている席がございますので、ご案内させていただきますね。
きっと落ち着かれると思いますよ」と笑顔でサラッと言ってのけると、
おっちゃんを女性から“剥がす”ことに成功したのです。
おっちゃんは少し照れくさそうな表情で、「おっ?そうか?じゃあお願いするわ」と言いつつ、女性に「すまんかったな」と謝罪して、お兄さんと一緒にお店の奥に消えていきました。
女性からは、ちょうど本棚などで隠れておっちゃんが見えない位置にある席。しばらくしてお兄さんが女性のところにやってきて、「大変申し訳ありませんでした。どうぞ、ごゆっくりなさってくださいね」とペコリ。
女性もリラックスした笑顔で応えておられました。
常連のおっちゃんの機嫌を損ねることなく、恥をかかせることなく、シレッと反省を促す対応。
女性にも安心して過ごしていただく配慮。
そして他のお客さんの、“優雅な朝の時間”をジャマさせないという姿勢。
ぼくは以前にも、このお兄さんの神対応を見たことがあるので、「金髪のままでいいから、介護職として一緒に働いてくれませんか?!」と、やっぱりスカウトしたくてたまんなくなった朝でした。