頼んでいない代引きに、母が14,069円払っていた。——“返金できません”と言った郵便局が翌日謝罪に来た話
2026/05/21

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最初にその荷物が届いたのは、
三日前の夕方だった。

インターホンが鳴き、
玄関を開けると郵便配達員が立っていた。

手には小さな箱。

「代引きで14,069円になります」

その瞬間、
私は違和感を覚えた。

代引き?

最近そんなもの頼んでいない。

送り状を見ると、
送り主の名前は「林田達也」。

知らない名前だった。

私はその場ではっきり言った。

「受け取り拒否します。」

配達員は少し困ったような顔をしたが、
「あ、わかりました」
と言って荷物を持って帰った。

私はそれで終わったと思っていた。

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二日後までは。

仕事から帰宅すると、
母が何気なく言った。

「今日ね、郵便の荷物届いたから受け取っておいたよ」

私は一瞬で嫌な予感がした。

テーブルの上を見る。

そこには、
見覚えのある箱。

急いで送り状を確認した。

送り主。

——林田達也。

同じだった。

私は思わず声を上げた。

「これ、頼んでない荷物だよ!」

母の顔色が変わる。

「え……?
でも代引きだったから……」

そして小さな声で続けた。

「14,069円払っちゃった。」

頭の中が真っ白になった。

私はすぐ郵便局へ電話した。

事情を説明すると、
担当者はしばらく黙ったあと、
少し重い声で言った。

「確認しますので、お待ちください」

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数分後。

戻ってきた担当者は言った。

「申し訳ありません。
こちらの処理ミスでした。」

意味がわからなかった。

「処理ミス?」

担当者は説明した。

本来、
私が受け取り拒否した時点で、
荷物は送り主へ返送されるはずだった。

でも郵便局側が、
拒否処理を忘れていたらしい。

さらに誰かが追跡番号を使って、
再配達依頼を出していたという。

そのまま荷物は再配達され、
事情を知らない母が受け取ってしまった。

つまり、

完全に郵便局側のミスだった。

私は少し安心した。

「じゃあ返金できますよね?」

すると担当者は言った。

「……申し訳ありません。
一度お支払いされたお金は返金できません」

私は耳を疑った。

「え?」

「規則上、そのようになっています」

いやいや、
そもそもそっちのミスだよね?

私は食い下がった。

「でも郵便局のミスですよね?」

すると返ってきたのは、
さらに信じられない言葉だった。

「それは配達員のミスなので、
こちらでは対応できません」

つまり、

郵便局本体 → 配達員の責任

にされていた。

私はすぐ配達局へ電話した。

事情を説明すると、

電話口の配達員は軽い口調で言った。

「一度払ったなら無理ですよ。」

その瞬間、
言葉が出なかった。

横で母が小さく言った。

「ごめんね……
払わない方がよかったよね……」

その顔を見て、
胸が痛くなった。

母は悪くない。

悪いのは、
こんな仕組みと対応だ。

その夜、
私は徹底的に調べた。

そして見つけた。

JPお客様サービス相談センター。

郵便局本部の窓口だった。

私はすぐ電話をかけ、
最初から全部説明した。

・一度受け取り拒否したこと

・拒否処理がされていなかったこと
・再配達されたこと
・母が14,069円払ったこと
・返金を断られたこと

電話の向こうは、
しばらく静かだった。

そして担当者が低い声で言った。

「それは……
重大な対応ミスの可能性があります」

私は静かに返した。

「警察と消費生活センターにも相談します」

その瞬間、
空気が変わったのが分かった。

翌日。

午前10時。

インターホンが鳴った。

玄関を開けると、
スーツ姿の男性が二人立っていた。

胸元には「郵便局」の名札。

その後ろには、
あの配達員もいた。

局長らしき男性が、
深く頭を下げた。

「この度は大変申し訳ございませんでした」

そして封筒を差し出した。

中には、
14,069円。

現金だった。

さらに局長は、
母に向かって頭を下げた。

「お母様にもご迷惑をおかけし、
本当に申し訳ありませんでした」

母は驚いたように、
何度も「いえ……」と言っていた。

私は静かに言った。

「最初から、

そうしてくれればよかったんです。」

局長は何度も頭を下げ続けた。

あとで調べると、
同じ送り主名で、
似た被害がいくつも出ていた。

知らない名前の代引き。

拒否したはずなのに再配達。

そして、
家族が払ってしまう。

だから私は書いている。

もし、
頼んでいない代引き荷物が届いたら。

絶対に、
その場で払わないでください。

そして少しでも怪しいと思ったら、
必ず受け取り拒否をしてください。

たった14,069円。

でも、

母のあの申し訳なさそうな顔を見た瞬間、
私は決めた。

——絶対に泣き寝入りなんてさせない、と。

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