「20歳年下の彼女が妊娠した。だから離婚してくれ」
ある日、夫は若い女性を連れて家に来て、突然そう言った。正直、驚きはなかった。夫は昔から家事も子育てもせず、毎晩飲み歩いてばかり。夫婦関係はとっくに壊れていたからだ。
私は静かに離婚届を差し出した。
「いいわ。長男以外の子は連れて行くね」
すると夫は信じられないことを言った。
「長男も連れていけよ」
「無理よ。この子、あなたの連れ子でしょ」
夫は黙り込んだ。
私は昭恵、51歳。専業主婦だったが、実は数年前からこっそり在宅でウェブデザインの仕事を始めていた。いつか離婚する日のために、収入も貯金も準備していたのだ。
離婚届にサインをさせたあと、私は続けて言った。
「それと養育費。二人分で月4万円ね」
夫は顔をしかめる。
さらに私は夫の隣に立つ女性を見て微笑んだ。
「あと、あなたにも慰謝料を請求するわ。浮気の証拠は全部そろってるから」
女性は青ざめた。
「そんなお金ない!」
「じゃあ彼に払ってもらえば?」
途端に二人は言い争いを始めた。結局、浮気相手は「こんなおじさんと結婚なんて無理!」と言って逃げ出してしまった。
その後、夫は離婚を取り消そうとしたが、もう遅い。子どもたちも私の味方だった。
私たちは荷物をまとめて家を出た。
今、子どもたちと新しい生活を送っている。長男も私たちと暮らすことを選び、プログラミングを学び就職した。長女と次男も毎日元気に学校へ通っている。
玄関で三人が振り返る。
「行ってきます!」
その姿を見ながら私は思う。
長い苦労の末、ようやく本当の家族になれたのだと。