
お盆になると、同居している義実家では毎年、帰省してくる義姉夫婦を迎えるために忙しい時間が続いていた。特にその年は体調の優れない義父のため、私は義母と相談しながら、義父の好物である煮物や天ぷら、出汁巻き卵、炊き込みご飯などを朝から心を込めて用意していた。
ところが夕食の席で、義姉は料理を一口食べるなり「まずい」「こんなのよく出せるね」と笑い、天ぷらや煮物を次々とゴミ箱へ捨て始めた。私は悔しさをこらえて立ち尽くすしかなかったが、その時、ずっと黙っていた義父が箸を置き、静かな声で「帰れ」と言い放った。
そして「この家の飯を捨てるような者に、ここにいる資格はない」と続け、今日の料理には家族を思う気持ちと、この家で大切にしてきた味が込められているのだと義姉を厳しく叱った。義姉夫婦はその日のうちに帰宅し、後に義父が、私が台所で汗だくになりながら丁寧に料理を作る姿を見ていてくれたと知った。あの日私は初めて、この家でただの「同居の嫁」ではなく、家族の一員として認められた気がした。