夫の徹が亡くなった後、私と娘の綾が家で遺影を選んでいると、インターホンが鳴った。モニターには義母と義姉が立っていた。手伝いに来てくれたのかと思い玄関を開けると、引っ越し業者が次々と荷物を運び込んできた。義母は「この家は息子のものだからもらう。あんたたちは出ていけ」と言い放つ。
しかし綾が「この家はもうおじいさんのものじゃないし、幽霊が出るんだ」と叫んだところに、徹の親友の阿良が現れ、「人の家に勝手に入るな」と一喝。実は二年前、徹が癌になった時、治療費のため家を売る必要があった。義両親は援助を拒んだが、徹の高校時代の親友で不動産会社を経営する阿良が家を買い取り、私たちに月1万円で貸してくれたのだ。
つまり、この家の持ち主は阿良だった。事情を聞いた義兄は呆れ、義姉に離婚を言い渡す。結局、義両親たちはその家に住もうとしたが、綾の「幽霊が出る」という話に怯え、引っ越していった。
その後、私たちは再びその家に戻り、阿良の好意で変わらず月1万円の家賃で暮らしている。
阿良は毎月家賃を取りに来るついでに仏壇に手を合わせ、徹との学生時代の思い出を話してくれる。私と綾はその話を聞きながら、きっと徹もどこかで笑っているに違いないと思っている。